Yaeko OKAZAKI 岡嵜 八重子
Trends toward a "Lifelong Learning Society"
in the United Kingdom AbstractOver the past decade, the educational scene in the United Kingdom has witnessed a drastic change. In order to transform and strengthen the labor force to meet the demands of the information-based economy in the twenty-first century, the government has been the main catalyst in fostering a "lifelong learning society". It is the intention of the UK government to train and educate its work force by creating a "lifelong learning society" in which people continue learning throughout their lives at home, school and work.This paper will first survey the history of education reform after World War II. It will then examine the Green Paper, Learning Age and the responses to this paper issued by the Department of Education and Employment. Through an analysis of higher education and further education statistics, trends in the "lifelong learning society" will be discussed. The latest report by the Lifelong Learning Council of Japan will be compared to the United Kingdomユs Green Paper. Key Words: Education reformation, Government policy, Lifelong Learning Society |
I.はじめに イギリスでは、近年、相次いでドラスティックな教育改革が進行中である。義務教育段階より始まって、高等教育及び継続教育の改革へと進み、各教育機関のネットワーク化も整備されつつある。この国は、何ごとも漸進主義といわれるが、また一面現実主義的でもある。この急激な教育改革は、その現実主義的側面を如実に示しているように思われる。現実問題として、イギリスの経済は第二次世界大戦後50年近く低迷し、国際競争力はヨーロッパ内でも、ドイツやフランスにはるかに及ばない。基礎学問研究上は、アメリカに次ぐ優位を保持しながら、ワークホースの技術力が弱いことがネックとなっていた。そこで、高等教育の大衆化が急務となり、1988年、戦後最大といわれる教育改革法が成立、1992年にはそれまでのポリテクニクや高等教育カレッジ等の大学への改組改名が行われ大学が急増した。21歳未満人口に占める高等教育機関在籍の学生の割合も、1988年から5年間に15%から30%に倍増した注1)。1997年に発表された政府の諮問委員会報告では、さらにこれを45%以上に拡大するように求めている。1997年5月に発足したブレア政権は、政府の施策の第一に教育を掲げた。高等教育の拡充と共に、21世紀情報化社会への対応として不可欠とされる生涯学習の整備を着々と進めている。すでに19世紀、世界に先駆けてボランティアで始まったメカニックス・インスティチュート(mechanics
institute)や大学拡張運動(university extension)、ヴィレッジ・カレッジ(village
college)等に始まり、やがて労働者教育協会(Workersユ
Educational Association=WEA)地方教育局(Local
Education Authority=LEA)、 大学構外教育部(University
Extra-Mural Department=EMD )の三者を中心に各地で展開してきた生涯学習の運動が、今、国家主導で、明確な目標をもって推進されている。 II.イギリスで使われてきた生涯学習関連の用語について生涯学習 (lifelong learning)という言葉は1965年ユネスコの「成人教育推進国際委員会」に提出されたワーキング・ペーパーの題名‘education permanente’に由来することは周知の通りである。日本では「生涯教育」と訳され、90年代に入ってからは、個人が主体的に生涯にわたって学習すると言う意味あいで「生涯学習」が一般化した。イギリスにおいては、100年以上も前に社会運動として起こり発展してきた成人教育は、生涯教育の重要な部分である。しかし生涯教育あるいは生涯学習という用語は最近まで一般にはあまり馴染みのないものであった。それでは、イギリスではどんな用語が一般的に使われてきたか。戦後の教育改革を生涯学習的観点から辿る前に、イギリスにおいて慣用的に使われてきた生涯学習関連語について、少し整理しておきたい。 1. adult education:成人教育 adult education とは、教育が人生の最初の一時期に終わると考えられた時代に、その対局にあるものとして19世紀後半に生まれ、文字どおり成人した大人を対象とした教育である。 2. continuing education : 永続教育 continuing educationとは生涯にわたり永続する教育の意で、ユネスコで使われたeducation permanenteに近い用語である。Jarvisによると、 「continuing education とは義務教育またはそれに続く中等高等教育後に『続く教育』である。生涯教育と同義語ではない。生涯教育とは教育すべてを包括するものであり、continuing education とは生涯教育の一部である3)。」1960年代、continuing educationという用語が頻繁に使われ始めた時代には、急速な技術革新に対処するため、職業人が、新技術や職業上の新しい知識を絶えず取得する必要性が強調され始めたという背景があり、この用語は、技術教育、職業教育の側面を持つことが多い4)。そこで、大人が人生を通して行う教育をadult & continuing education と包括して表現されることもある。 3. recurrent education :リカレント教育 リカレント教育とは、一旦職業人となった後に、正規の学校教育機関、特に高等教育機関において、職業上の知識や技術に関する教育を受ける教育形態をいう。70年代、OECDの教育政策論の中心概念として欧米で普及した。しかし、このリカレント教育という用語自体はイギリスおいて今ではあまり使われていないようだが、リカレント教育の理念は、本稿第IV章中に見るように、政府の政策の中に強く反映している。4. lifelong learning :生涯学習 上述のすべてを包括するものとして、最近ではイギリスでも lifelong learning の用語の使用が一般化してきた(図1)。教育雇用省の報告書やウエブサイトでも、生涯学習という用語はキーワードとなっている。国が教育を政策の要とするとき、だれでもいつでもどこでも生涯にわたり学ぶ生涯学習はキーワードとして最適な用語であったと言えよう。5. community education :地域社会教育 イギリスの生涯学習を語るとき、地域社会で展開してきた教育の役割は重要である。Jarvis はcommunity education を3タイプに分けて考えている。即ち地域社会での活動に関わる教育、地域社会の発展に寄与する教育、そして地域社会での大学拡張運動等の教育5)である。日本においても、社会活動や公民館活動等の社会教育がこのジャンルに入ると思われる。19世紀後半以降始まった大学拡張運動の普及にともなって、諸大学に設立された構外教育部は、大学が学外の社会人対象に大学教育を公開するという点において、日本各地の大学で近年設立されつつある生涯学習センターの先駆であった。また、地方教育当局や労働者教育協会との連携講座もcommunity educationの大きな領域であった。地方分権色の強いイギリスでは、このcommunity educationこそが、生涯学習の中心であった。 6. further education:継続教育 further educationは、 高等教育(higher education )を除く義務教育修了以後の教育のすべての形態を指す制度上の用語として使われている。継続教育機関の大半は、職業に関連したもの、もしくは職業訓練中心であるが、非職業的な教養コースを兼備しているところもある。継続教育カレッジやシックス・フォームカレッジの職業コースでは、国の認定職業資格であるGeneral National Vocational Qualification = GNVQs を 取得できるし、大学入学に有効なGeneral Certificate of Education=GCEやAdvanced Supplementary =ASのコースもある。 III.イギリスにおける第二次世界大戦後の教育改革にみる生涯学習の動向イギリスでは戦後も、成人教育の運動は各地で定着し、伝統的な地方分権社会の中で、充実発展していった。しかし、70年代の初めをピークとして、各地で講座の数、参加者共に陰りを見せていく6)。中央政府による国際社会での競争力強化を主眼とした教育政策の影響とみられる。教育の分野では地方分権から中央集権へ、教育機関への補助金の効率の良い配分化、民営化等の施策が推進された。以下、教育法や報告書等を中心にその経過を辿ってみた。◎1944年 教育法(The Education Act、1994) 義務教育修了後(つまり16歳以後)の人々に、地方教育当局が、(1)フルタイム及び パートタイムの教育機会を提供すること、(2)教養及びリクリエーション型の学習機会を提供すること、(3) 民間団体を含む他の機関と協力することを義務づけた。継続教育further education の文言が初めて法律に明記された7)。 1960年代には、既存のカレッジが大学へ、あるいは全く新しい大学が20校以上創立された。加えてポリテクニク32校が新設され、ポリテクニクの学生も同時に新設された学位授与協議会を通して学位の取得が可能となった8)。大学の大衆化の始まりではあったが、大学の質の低下を懸念して、以後しばらく大学の新設は押さえられた9)。 ◎1964年 産業訓練法(The Industrial Training Act、1964) 1962年に発表された産業訓練に関する白書に基づき、技術の進歩に対応した職業訓練の実現を目指した。 ◎ 1973年 ラッセル報告成人教育−開発・発展のためのプラン (Russell Report :Adult Education -A plan for Development)職業教育の重要性を訴え、職業教育の活性化・現代化の必要性に焦点が当てられた。 60年代から70年代半ばまで、各地の成人教育機関への公的援助金は増え続け参加者数も伸びつづけていた。成人教育機関で主として行われていたのはいわゆる一般教養講座liberal edu- cationであった。しかし、ラッセル報告以後、教養的講座への公的援助金は減る一方となり、受講者数も減少する傾向となる。Arthur Stock のいう、教養、レジャー、スポーツ中心の成人教育のロマンティシズムの時代から市場経済を睨んだ職業教育、実学のモダニズムの時代へと移行していく10)。時を同じくして生涯にわたる教育の意味で、continuing educationという用語が使われ始める。18歳以上であれば入学試験も資格も必要無く入学できるthe Open Universityが1969年に創立され、71年に開校した。放送メディアを利用した遠隔教育 の先駆けであった。 ◎1980年 プライス報告 (Price Report) continuing educationの多様な短期コースを設け、成人大学生の増加を奨励し、そのための援助を講じることを勧告した。 1980年代には、高い失業率を低下させるべく、勤労者対象の職業、技能教育への数々の施策が講じられた。 ◎ 1988年 教育改革法、( Education Reform、1988) サッチャ−首相による、1944年以来最大の教育改革。改革の骨子は、民営化による競争原理を教育にも導入し、国際競争に打ち勝つ人材の育成、教育の中央集権化、マイノリティに対する教育対策である。ナショナルカリキュラムが設定され、全国共通テストが実施されることになった。ポリテクニク等の大学以外の高等教育機関が地方教育当局(LEA)の管轄から外れ、LEAの権限範囲が縮小化することになり、内ロ ンドン教育局(Inner London Education Authority=ILEA)の廃止と共に、17の成人教育センターや78のユース・センターもバラ(区)の管理下に、つまりは政府の管理下に入った。 これまで各地の小中学校の施設が、成人教育の施設としても使われてきたが、国際競争に打ち勝つ教育を目指して全国共通のナショナル・カリキュラムの導入と、全国統一テストの実施等の改革で、学校間の競争が強まり、昼の生徒の学力向上のため、夜間に多い成人教育活動へ配慮が薄れるなど、間接的な影響が懸念された。伝統的な地方分権社会を背景に各地で花開いた成人教育は、以後中央集権化の傾向を強めることになり、趣味、レジャーそしてスポーツのような講座が特に打撃を被ることになった。また各地の成人教育機関での受講料が高騰した11)。 ◎ 1991年 白書:21世紀へ向けての教育と訓練(Education and Training for the 21st Century) 教育と職業訓練の高度化効率化の推進、学位等の資格と職業資格が同等の価値を持つことを宣言し、両者を統合した新資格を提唱した。高等教育機関に続いて、他の16歳以上対象の公立教育機関もLEAから独立することを提案した。 ◎ 1992年 継続教育及び高等教育に関する1992年法(The Further and Higher Education Act、1992) 既存のポリテクニクの全校及びイングランドやスコットランドの高等教育機関数校が大学に昇格し、大学生数は一挙に伸びた。 高等教育機関は拡充される一方で、諸々の継続教育機関は、管轄が厚生省であったり貿易産業省であったり、教育省であったり とバラバラで、協調した行動がとれなかった上に、税制改正の影響もあって、各地の成人教育サービスが次々と姿を消していった12)。 また、1995年には、教育省が雇用省の一部の所管事項を吸収して教育雇用省(Department for Education and Employment=DfEE)が誕生。雇用率の向上と、ワークホースの技術力強化を目指してきた政府の行政上の効率化が計られた。 ◎1997年 デアリング報告:「学習社会における高等教育」(Dearing Report:Higher Education in the Learning Society) 過去30年余りのイギリスの高等教育の分析を基に、今後20年間におけるイギリスの国家的必要に見合う高等教育の目的、規模、財政、教育・研究および学生支援等高等教育全般にわたって検討を加え、全体として生涯学習における高等教育の位置付けを展望するとともに、国際競争力の向上における高等教育の役割を強調した13)。 ◎1997年 フライヤー報告:「21世紀の学習」(Fryer Report:Learning for the Twenty-First Century) 永続教育と生涯学習審議会(The National Group for Continuing Education and Lifelong Learning)により作成された。すべての国民に生涯学習文化を行き渡らせることを目的に、ラジカルな変革を喚起した。生涯学習の現状と問題点を述べ、あるべき生涯学習社会像を提案し、その実現のための方策等の提言を行った14)。 ◎1997年 ブラウン報告(Brown Report) 産業大学(the University for Industry=UfI)案が提出された。産業大学は、いわば全国対象の国立生涯学習センターといえるだろう。全く新しい学習ネットワークの中心としての役割を果たすとされる15)。 ◎1998年 ケネデイ報告:「職場での学習」(Kennedy Report:Learning Works) 「学習こそは経済的繁栄と社会の安定の礎である。これまで、学習の機会に恵まれなかった層を組み入れる枠組みの構築が求められる。継続教育がその中核をなす。若者に、繰り返し教育の機会を提供し、カリキュラムを多様化し、職場で家庭で地域の生涯学習機関等で、学びの場の提供が必要である。国民すべてが国の教育規格レベル3以上の取得という目標を設定し、目標達成のため各機関が協力していく」ことを呼びかけた16)。 ◎1998年 緑書「学習時代(Learning Age) 」 「21世紀情報社会における繁栄の鍵は学習にあり」とする、生涯学習社会を実現するための政府指針を表明し、広く国民に質疑応答を求めた。第IV章で詳述する。 ◎1999年 白書「成功するための学習(Lea- rning to Succeed)」 義務教育終了後の学習のための新しいフレームワークの構築を発表。16歳以後の学習を国家戦略上一本化すべく、継続教育基金委員会(Further Education Funding Council=FEFC)」と「職業訓練と企業委員会( Training and Enterprise Councils) 」を廃止して「 学習と技術委員会( Learning and Skills Council)」を設立すること等が盛り込まれた。 1997年に政権は労働党に移ったが、80年代サッチャー首相の保守政権以来一貫して進めてきた国の基本政策を教育に置く姿勢には変わりはない。イギリスでは2大政党が交代することで大きな政策転換が起こることもよくあるが、こと教育改革に関しては政策は酷似している。そもそも、サッチャー政権の前任者労働党のカラハン党首がラスキン・カレッジで行った演説の中で、 「永年のイギリス経済の衰退の原因を教育に求め、教育が生活並びに経済の手段にならなければならない ことを積極的に訴えた。」「これは従来のイギリス教育の伝統だった経済から独立した古典的な教養 教育重視とは一線を画し、教育が経済に従属するものとして認めたものとして有名である。これは、成人 教育に職業上の知識の習得を課す導火線的役割を果たした点においても重要なものであった。」17) と佐久間孝正氏は述べている。 現ブレア労働党政府も1997年5月の政権獲得以来、経済効率を念頭においた数々の教育改革を講じてきた。特に情報社会への労働者レベルの対応、急速な社会の変化についていくために生涯学習の必要性を国民に訴え、生涯学習社会の実現に向けて行政サイドの整備を進めている。義務教育から高等教育、継続教育へ至るまでを包括した用語として生涯学習が、頻繁に使われはじめ、その中身は、イギリスの誇った一般教養中心の成人教育とはかなり違ったものになってきている。現政府が打ち出している生涯学習に関する政策内容を見てみると、一目瞭然としてくるだろう。 IV.政府発表の緑書「学習時代」にみる「イギリス型生涯学習」への取り組み政府がブレア政権に代わった1997年、デアリング報告、フライヤー報告、ブラウン報告等が相次いで提出され、翌98年2月には、以上の報告書を参考に「新イギリスのルネッサンス(a renaissance for a new Britain)」という副題入りの緑書「学習時代(The Learning Age)」が発表された。国家が率先して、生涯学習社会を創造していこうという国民への呼びかけである。冒頭において、次のように述べている。「私たちは今新しい時代、情報と地球規模の競争の時代に立っている。慣れ親しんできた確かなもの と旧来のやり方は消え去りつつある。仕事の型も変化し、働く職場も、 そこで必要な技術も同様に変容してきた。しかし私たちの生活を向上してくれる新技術の潜在的価値を知れば、前途には好機が待ち受けているともいえる。この新時代に、覚悟をもって立ち向かう以外に私たちに選択の余地はない。新時代における成功の鍵は不断の学習と知力と想像力の開発にあるだろう18)。」 序章の余白に挿入された、トニー・ブレア首相の「教育は我が国の最良の経済政策である。」というメッセージが、先の保守政権より受け継がれ、一層急激に押し進められているイギリスの教育政策の核心をなす。しかし勿論、経済効率ばかりを説いているわけではない。ブラケット教育雇用相は緒言で、 「学習はわが国の未来経済を保証するばかりでなく、寄与するところより広大である。学習は文化社会 の形成に与り、私たちの生活の精神面での発達を促し、活力ある市民を生み出す。社会活動で活発 な役割を果たし、家族、近隣、引いては国家の安定を強める。学習は私たちの潜在能力を開花させ、音楽、美術文学愛好への扉を開くものである。だからこそ私たちは機会均等をもたらすものとしてのみならず、学習それ自体に価値を置く所以である19)。」と述べている。 形では見えにくい文化面が、効率主義のもとでどのように変貌していくのだろうか。以下にみる具体的な施策には、やはり経済主義ばかりが全面に出ている。 さて緑書「 学習時代」は義務教育以後の学習に対して幾つかの重要な提案、即ち産業大学の設立、中小企業における「人材への投資(Investors in People)」の促進、「個人学習口座(Individual Learning Accounts=ILA)」の開発等々を行った。 具体的な提案として挙げられた項目を以下に示した。 1. 継続教育・高等教育の拡大をはかる。2002年までに50万人増達成。 2. 産業大学を創設して企業も個人も学びやすくする。1999年後期開設。 3. 個人に学習預金を奨励し、先ず100万人 相当の「学習口座」投資を支援するために1億5千万ポンドの予算割り当てを行 う。 4. より多数の青年が16歳以後も勉学を継続できるように、青年の学習へ投資する。 5. 年間50万人以上の成人対象に、2002年までに基本的な識字と計算能力拡大をはかるための助成金を倍増する。 6. 継続教育、高等教育、成人教育そして地域社会教育(宿泊学習を含む)での学習、さらに産業大学による学習の輪を広げ学習へのアクセスを良くする。 7. 新設の「訓練規格委員会(Training Standards Council)」を通して、デアリング委員会で提案された諸基準を実行し、 継続教育・成人教育機関の視察を実施するなどして16歳以後の教育および学習の水準を向上させる。 8. 国家全体として達成したい技術や資格の ために、明確なターゲットを定め公表す る。 9. 企業、従業員および労働組合が連携し、職場における技術開発を支援する。 10.学業資格と職業資格とを同位に置き、雇用主のニーズにも個人のニーズにも適応で きる分り易い資格制度を制定し、その制度を最高度なものに高めて行く20)。 各章毎に国民へ質問を行い、最終章において、その質問を再確認し、広く感想、意見を求め、討論を行うよう喚起した。公聴会も各分野各地域で数カ月にわたり展開された。教育雇用省(DfEE)では、「学習時代」発表と同年に、関連資料としてケネディ報告への返答である「新ミレニアムの継続教育(Further Education for the New Millennium)」及びデアリング報告への返答である「21世紀の高等教育(Higher Education for the 21st Century)」を発表して義務教育以後の教育を網羅し、詳細な解説を行った。すでに、3歳から16歳までの教育については、1997年の白書「卓越した学校」(Excellence in schools)が出されている。そして今年6月には、16歳以後の学習に関するフレームワークという副題のついた白書「成功への学習(Learning to succeed)」が刊行された。さらに、生涯学習政策の総括となる白書もまもなく発表されることだろう。 さて今夏「返答集(The Learning Age- Responses)」が冊子として発表され、3000件に及ぶ返答がまとめられた。2/3が個人、1/3が教育機関や組織からのものである。概ね積極的支持を表明するものであったが、部分的には、疑問を投げかける発言もあって興味深い。産業大学の創設については、圧倒的な支持、関心を呼んだようだが、 「また新種の中産階級用の大学にだけはしないで欲しい。産業大学は『大学なんて私向 きじゃない』と考えるまでにも至ってないような人たちにこそ必要性を訴える必要がある。」21)という個人のコメントがある。フルタイムの職業人や労働者を対象に発足したはずのオープン・ユニバーシティの学生のマジョリティは、中産階級の主婦層になっている現状22)からの懸念だろう。 趣旨には賛成しながら、産業大学という名前に違和感を抱く人も多かったようである。この名称はゴードン・ブラウン氏が陰の内閣の産業相時代に命名したものに由来する。いわゆる大学ではない。産業界のニーズのためにだけ運用されるものでもない。全く新しい学習ネットワークの要の役割を果たすものである。とすれば、「産業大学」というタイトルは少々無理があるような感じはする。単なる趣味教養は範疇にはなく、産業と学問を連携させる機能であるから、この名を残すところに政府の意図が読みとれる。 Investing in Learningに関する章では、個人学習口座(ILA)が提案されている。個人学習口座とは、個人が、自分の学習のための費用を、政府が設立したシステムに組み込まれた口座に預金したり、引き出したりして運用しよういうものである。“教育投資”のコンセプトを実際の経済社会の中で機能させるという、現実主義の国の徹底した試みである。日本の金融機関が売っている教育ローンのような半端なものではなく、政府、金融機関、そして個人三者によって組織される。枠組み作りつまり最初の資金は、税金や個人寄金と組み合わせたりなどして、調達するという。 学資ローンは現在50歳以上は対象とされていないが、対象とすべきか否かの質問が出されていた。「学資ローンは50代前半の大学生の利用も認めるべきである。平均寿命は伸びている現在、社会に貢献し続け、その蓄積された経験を生かしていくことを保証する必要がある。」23)というコメントが、成人教育機関から出ている。当然の要求だろう。しかし、どの程度の予算割り当てとなるのだろう。具体案は出ていないようだ。 高等教育の裾野を広げるとなると、これまでのような授業料無料では財政難は必至である。すでに、デアリング報告で提案されたように、大学の授業料は1998/99年度より有料化したが、これも、個人のあるいは家族の財力に合わせた額に設定されている。上限が1,000ポンド、約20万円相当である。貧しい学生には、授業料免除さらに生活費として年間1,000ポンドのローンが認められる等の制度が用意されている。高い授業料を払っている日本の学生、親たちからすると、まだまだ羨ましい政策に思えるのではないだろうか。 Investors in Peopleとは、従業員や職員の技術向上に対する投資をさす。できるだけ多くの企業や公共団体に参加するように呼びかけている、いわば国が仕掛けた、ワークホース強化運動といえよう。その他従業員訓練のために様々なサポートシステムがつくられている。これらすべてが機能するようになると、教育ルネッサンスあるいは教育革命を標榜する運動の最大の成果となるだろう。 青年層に対する学習開発、成人層に対するあらゆるタイプの学習参加の拡大、職場と教育機関、家庭、労働組合その他各機関の連携により、学習社会を実現しようとする国のイニシアティブは、確かに大きな反響を呼んでいるようである。「近年、LEAと継続教育カレッジとの連携が弱まってきているが、強化していくべきである」24)という声も載せている。LEAによる成人教育サービスに危機感を抱くむきもあるのだろう。II章で述べた伝統的な成人教育も今後どんな講座が主流になっていくのか、興味あるところである。 高等教育をすべての層の国民に広めることで質の低下をみることなく、ワールドクラスの水準を目指して、各教育機関が一貫した教育方針を確立することにより信頼性を高めるべく、諸政策が提案されまた歓迎されている。中でも、外部からの視察制度や情報公開は必至とされ、公正な実施システムが切望されている。 最後に、達成度あるいは資格の認定は学習には必要不可欠な要件である。職業資格と学業資格とを同列に置き、比較等級化したのが表1である。国の学習資格の統一化によって、分かりやすく、かつ縦横にクロスオーバーしながら、個人の学習の向上がはかれる。 また、高等教育での単位蓄積と互換認定制度(Credit Accumulation and Transfer System=CATS)の整備が謳われている。強い支持が表明されている一方、多くの人が多様な機関で修得された単位の同等性の認定方法の難しさを指摘している。どの国についてもいえることだろうが、職業的能力と純粋にアカデミックな単位の互換はかなりの難題である。大学間でも、1992年にポリテクニクから大学に衣替えをした大学と、旧来の大学との評価差は未だ大きいことが報告されている25)。 以上、国家の生涯学習社会へ向けてのイニシアティブに対して、社会が強く反応している様子が読みとれる。 それでは、以上見てきた国家による教育政策はどのように実際の教育現場に反映しているか、高等教育や継続教育の学生数の推移から少し検討してみよう。 V.高等教育及び継続教育機関での学生数の変化1. 高等教育機関での学生数の変化 1982年以降、教育改革後数年間の高等教育機関にみる学生数は、図3に見るように著しく増加した。特に図2に見るように、21歳未満の伝統的学生の同年令層に対する割合は、教育改革法の成立した1988年以降数年は急成長を示し1993年までの5年間ではほぼ倍増した。国の政策がみごとに効を奏したようだ。しかし、1994年〜1997年の間においては、図4に見るように、パートタイムの学生数の増加が見られるもののフルタイムの学生数はほとんど変わらず、全学生数という意味では、微増に止まる。年齢構成を1997年度の高等教育一年生について見ると、図5にみるように、フルタイムの学生は、21歳未満の伝統的学生層が2/3を占め、パートタイムの学生では成人層が大部分である。全学生にたいする成人学生数はほぼ半数である。1994年発行の教育雇用省の資料26)によると成人学生数は1979年より93年までに140%という大幅な増加を示し、1993年の全学生数に対する成人学生の割合はほぼ50%であって1997年度の比率と変わっていない。高等教育機関の学生数は、1988年の教育改革後1993年までの間は急増し、その後1994年から1997年までの間は、学生数においても、また学生の年齢構成内容においてもほとんど変化していないことがわかる。政府は緑書「学習時代」で、フルタイムの伝統的学生数を現在の30%から45%に増加すると宣言している。過去の改革の実績から、学生数の増加を促し、高等教育を活性化させることは大いに期待できるだろう。2. 継続教育機関での学生数の変化 継続教育は学習形態も所轄機関も多様でありデータも少ない。教育雇用省 の統計から作成した図6でみると、1994年度から1997年度において19歳以上の継続教育機関の受講者数は増加しているが、16〜18歳の受講者数は伸び悩んでいることがわかる。緑書「学習時代に示された各種提案(学生数50万人の達成、産業大学の設置、学業資格と職業資格の等位化等々)が実行されることにより、高等教育学生数ばかりでなく、継続教育の学生数も増加することが、期待できるだろう。V.日本の生涯学習政策との比較 日本においても、生涯学習社会への志向は1970年代から始まっている。1971年、社会教育審議会から「急速な社会構造の変化に対処する社会教育のありかたについて」の答申が出され、成人教育および社会教育で見直しが始まった。1979年には、中央教育審議会から、「生涯教育についての報告書」の答申が出され、人々の生涯にわたる学習と、家庭教育、学校教育、社会教育の有機的統合の必要性が強調された。 1980年代に入ると、個人が主体的に生涯にわたって学習する「生涯学習」の用語が広く使われ始める。民間のカルチャーセンターや大学の公開講座で学ぶ人口が急増した。講座内容は、主に趣味や一般教養である。1985年から1987年にかけて、「臨時教育審議会」より、生涯学習体制への移行について4度にわたる答申が出された。その答申にそって、1988年には、生涯学習推進体制の整備を図るため、文部省に「生涯学習局」が設置された27)。 1990年代になると、「生涯学習」という用語は社会的に定着し、「生涯学習社会」に向けての志向が強まる。1990年には、「生涯学習審議会」が発足し、すでに現在は第4期に入っている。今年1999年6月には、1997年の諮問事項の一つ、「生涯学習の成果を生かすための方策について」の答申を行った。生涯学習の成果を具体的に生かすための提案がなされている。以下、抜粋して、イギリスの動向との比較検討をしてみたい。 文部省への答申「生涯学習の成果を生かすための方策について」第1章において、先ず、「一度の選択でその後のすべてが決まってしまうのではなく、回り道や道草などいつでもやり直しがきく、ゆとりのある社会のシステムでありたい。」28)と述べている。次に「産業構造の変化や雇用の急速な流動化により、勤労者自らが、より高い職業上の知識や技能を獲得し、サバイバルを計っていかなければならない状況に至っている。」29)とも述べている。つまり、ゆとりある社会システムの構築、勤労者自らのサバイバルのためにより高度の職業上の知識や技能を獲得する必要を前提としているものであり、国際間の経済競争力を確立するための職業訓練や技能修得を第一義とするイギリスの姿勢とは、大いに異なると考えられる。 文部省答申の「第2章 生涯学習の成果を『個人のキャリア開発』に生かす」の中では、日本の企業で一般的であった、企業内訓練だけでは新時代に対応できなくなったこと、「企業としては多様なOff-JT注2)の実施、外部の教育機関への教育研修委託を進めるとともに、勤労者個人の自己啓発活動を積極的に支援するようになってきている。」30)と述べている。そのために、高等教育機関による社会人のための学習機会の拡充、新たな情報通信手段を活用した高等教育機関による学習機会の拡充等を進めるべきと提言している。イギリスの緑書「学習時代」は継続教育をさらに充実させるための仕組みとして新たに「産業大学」の設立を推進しているが、日本においてもこのような方向の検討が必要になると考えられる。 さらに同答申第2章第4項において、「学習成果の多元的な評価」をしていく必要性が述べられている。学習成果に互換性を持たせるシステムをつくるために、個々人の学習成果の記録づくりを提案している。イギリスでは、すでにその試みは始まっている。「イギリスの場合には全国共通の学習達成記録(NRA:National Record of Achievement)が注目される。これは学校教育も含めた個人の学習成果の評価記録の全国統一様式で、我が国にはまだこのような仕組みはない。この記録に、資格取得には至らないような中間段階の学習成果の評価や取得単位も記載でき、記載内容は公的に認証されたもの、および自己評価となっている。」31)と、文部省答申は言及している。実際には、イギリスでもまだ試験的段階のようだが、緑書「学習社会」の中でも個人学習口座や産業大学とタイアップした使い方ができると予測している。学習成果の認証システムの構築についても、その調査・研究を進めることが要望されている。イギリスにおける職業資格と学業資格の等位システムは参考になるだろう(表1参照)。さらに「学習した者と学習成果を求める者を結びつけるシステムをつくる」ことが提案されている。学習成果の互換ネットワークの拠点としてのナショナルセンターの設置、あるいは学習者が参加を希望する活動の内容・形態等を登録する「学習成果提供バンク」と、行政機関・企業・民間団体・グループ・個人等が学習者の学習成果を受け入れて実施しようとする事業内容・構想等を登録する「学習成果募集バンク」などが提案されている。イギリスの産業大学は「学習成果提供バンク」と「学習成果募集バンク」を合わせた機能を有するものと考えられる。また、同答申のいうインターネットによる学習情報提供システムに当たるのが、イギリスのNational Grid for Learning=NGfLと思われる。NGfLのホームページから生涯学習関連のあらゆる機関へリンクが可能となっている。 文部省答申第3章は、「学習成果をボランティア活動に生かす」ことの必要性、効果、組織化を詳細に提言している。また、第4章は、学習の成果を「地域社会の発展」に生かすことの必要性や方策を提言している。個人の生涯学習の成果を地域に生かし、地域社会の活性化をはかろうとするものである。個人のそして社会の心の豊かさやゆとりが発想の中心となっている。21世紀情報社会における国際競争力を確保するための人材育成という国の大目標のもとに、生涯学習システムを構築しようとするイギリスの取り組みとは大きな違いがあると思う。 VI.終わりに成人教育に長い歴史を持つイギリスの教育体系が、生涯学習をキーワードにして、大きく変貌しつつある様子を、政府の報告書を中心にみてきた。経済競争力を前面に打ち出し、学校はもちろん職場で家庭で地域で、あらゆる年齢層にわたり、社会のすべての階層を巻き込み、学習を普及させようと指向するものである。ここでは、16歳以後の学習に焦点を絞ったが、もちろん生涯学習とは、生涯にわたるものであるから、それ以前の時期も入る。イギリスでは、かっての複式の学校システムも、今では、義務教育段階ではほとんど一本化された。16歳以後の教育システムも非常に柔軟化されて、生涯学習社会のキーワード《だれでも、いつでも、どこでも、どんな形でも学べる》体系が整備されつつある。これは世界の先進国共通の流れでもある。この流れを加速している大きな背景には、世界的な技術の急速な変化、情報化社会の進展等への対応がある。しかしながら、その内容はというと、各国の教育の歴史や現状が大きく関わってくる。日本を含む極東の国々では、過去の「詰め込み教育」の反省から、「考える教育」に切り替えようとしている。一方、欧米では、知識重視の傾向が顕著になってきている。イギリスでは、1988年の改革より導入された全国統一カリキュラムと統一テストの実施で、学校のランキングも公表され、大学評価も全国基準で公表されている。実験を通して原理を納得したり、社会見学を行って社会の仕組みを体験的に理解したり等、考える時間たっぷりの授業から、量的知識を習得する授業へと向かっている。緑書「学習時代」 の中で教育雇用相による冒頭の言葉「学習は、繁栄の鍵である。ー私たち個人個人にとっても国家全体にとっても。人材への投資は、21世紀の知識に基づいた世界経済における成功の基礎である。」32)を裏付けるものである。一方日本においては、学校教育は知識偏重の詰め込み教育からゆとりの時間を作り、考える教育・創造性を養う教育を目指す方向に向かいつつある。また、民間のカルチャーセンターや大学の公開講座は趣味や教養の学習が主流である。学習を通して個人の人生をこころ豊かにすることを第一義としているといえる。イギリスでも日本でも、情報化によって変化の加速する21世紀を前に、不足していたり行き過ぎたものの最適化を急いでいると考えられる。しかし、イギリスでの現況の教育改革の方向性では、1960年代後半、Hutchinsが警告したように「教育システムが、経済成長に向けられた場合、人間が生産の道具化する」33)恐れが十分ある。また一方、昨今の日本で顕在化している大学生の知識力の低下も国家にとって大きな経済問題の一つとなる時がくるかもしれない。いずれにしろ、知識も思考力も、豊かな人生を支える生涯学習に不可欠のものである。生涯学習社会のあるべき姿の中には、経済的にも豊かで、教養豊かな個人像があるはずである。引用文献 1 Peter Jarvis:Adult &Continuing Education 、(p)20、Routlege、1995年 2 生涯学習海外研究班:各国生涯学習の基本構想、p31、国立教育研究所、1991年 3 前掲書1、(p)26 4 前掲書1、(p)28 5 前掲書1、(p)34 6 Arthur stock: Lifelong learning Thirty years of educational change、the learning society、(pp)17〜18、1996年、The Open University 7 前掲書2、(p)31 8 Reference Services、Education After 16、(p)35、Central Office of Information、 HMSO、1995年 9 佐久間孝正:イギリスの生涯教育、神奈川大学評論15号、(p)177、1993年 10 前掲書6、(p)17 11 前掲書6、(p)18 12 前掲書6、(pp)18〜19 13 篠原康正:在学率32%を45%に引き上げ、(p)5、 内外教育、1997年 14 Learning for the Twenty-First Century、 http://www.lifelonglearning.co.uk/nagcell/ intro.htm 1995年9月6日 15 The Learning Age、DfEE、(pp)18〜20、1998年 16 Making Learning Work、NIACE Briefing、 http://www.niace.org.uk/organization/sectors/kennedybriefing.htm 1999年9月6日 17 佐久間孝正:多民族国家イギリスの「苦悩」と生涯教育、(p)75、苦悩する先進国 の生涯学習、生活評論社、1996年 18 前掲書15、(p)9、 19 前掲書15、(p)7、 20 前掲書15、(pp)14〜15 21 The Individual Learning Revolution ,The Learning Age -Responses, http://www.lieflong learning.co.uk/response/index1.htm, 1999年9月7日 22 前掲21 http://www.lieflong learning.co.uk/response/index1.htm, 1999年9月7日 23 前掲21 http://www.lieflong learning.co.uk/response/index1.htm, 1999年9月7日 24 前掲21 http://www.lieflong learning.co.uk/response/index1.htm, 1999年9月7日 25 岡嵜八重子 イギリスの大学開放事情、(p) 208, 東海大学短期大学紀要第29号、1995 26 Higher Education in the 1990s、(p)4、DFE、1994 27 山本恒夫(編著)、生涯学習の動向、生涯学習ハンドブック、(p) 37、第一法規出版、1990 28 学習の成果を幅広く生かす、生涯学習審議会答申、 http:www.monbu.go.jp/series/00000053/ 、1999年9月2日 29 同上URL 30 同上URL 31 同上URL 32 前掲書15、(p)7、1998年 33 Robert M.Hutchins:The Learning Society、(pp)40〜41、Encyclopedia Britannica、1968年 注1 Higher Education in the 1990s 、p3 及び図2を参照。 注2 Off-Jtとは、企業内職場における訓練オン・ザ・ジョブ・トレーニングに対して、職場外でのトレーニングを指す。
|