AbstractIndia has challenged the universalization of primary education since its independence. This paper focuses on one of the strategies for realizing this goal: the District Institutes of Education and Training (DIET) system, which provides pre-service teacher training for the teacher trainees who are supposed to be primary teachers in the neighboring districts. One DIET is scheduled to be established in each district and these institutions are expected to promote primary education in a district.
Results of a questionnaire administered by the author to recent successful students at DIET Motibagh, Delhi revealed that (1) while the students admired the utility of the practice of teaching and their studies on how to teach subjects in primary school, they were less enthusiastic about the pedagogic theory which supports the practice; and (2) the students found that the real situation in primary school education is very different from what they had taught in the training course.
It was found that (1) how to translate theories into practice is the crucial key to improve teacher training programmes and that (2) the complicated and diverse conditions in primary school education should also be introduced in the training programmes.
Key words: Primary teacher training, District institute of education and training, Delhi, India
はじめに
インドの独立(1947年)来の願望は、初等義務教育の普遍化の実現である1)。この国家的課題の実現には、当局の政策的対応や民衆の生活条件など種々の要因が絡むが、政策的なそれとしては初等教員養成の問題が重要であることが指摘される。教員の資質のほかに数十万の村落に勤務し得る有資格教員の確保がその成否にかかわっているとされる。
教育の地方分権化の一環でもある各州(State)内各県(District)における県教育研究所(District Institute of Education and Training、DIET、以下DIET)2)の設立はこの面における最近の政策上の挑戦と見なし得るであろう。
本稿はこのような意義をもつ、このDIETに焦点をおいて、インド政府がどのようにその国家課題を実現しようとしているのかを見ようとするものである。
ここでは、(1) 独立後の連邦政府の初等教員養成政策の展開を概観し、次いで、(2) 1980年代後半から全インドに設立されているDIETについてデリー州のそれを取り上げ、@それがどのような機能や構造をもっているか、Aそこでの初等教員養成がどのような評価を受けているか、を明らかにしようとするものである。
その究明を、DIETの初等教員養成課程に学んだ卒業生の意見を通して行おうとするものであるが、その理由としては、DIETは設立から日が浅く社会的評価が定まっていないこと、DIET の機能そのものが実験的でありその在り方を模索していること、そして実際に初等教員として勤務しているDIETの卒業生からの評価が重要性を持つと考えられること、などを挙げるものである。
デリー州はインドの首都でもあり、連邦政府の意向が直接反映するので国の教育政策の展開との関連で検討し易い。また、筆者は1996年からデリー州のDIETについて継続的に調査を実施してきている。さらに、デリーにある国立教育研究所3)からの助言と支援も得ることが出来、広く客観的見地に立つことを可能にさせられていると考えている。
1.インド連邦政府の初等教員養成政策
1-1.第1期(独立~1966年)
連邦政府は、独立後の教育政策をその五カ年計画4)によって示してきた。教育は国家再建のために不可欠であると重視し、事実、初等教育の就学率(1学年〜8学年) について見ても1947年の30%から1961年の62%へと急激な上昇を見ている。5)しかしこの量的拡張は、地域格差、男女格差、中途退学や原級留置(いわゆるWastage) 、階層格差、教員の資質の問題等をはらんでいた。
全人口の85%が農村部に居住するインドで、全初等教員養成機関の36%がそこに設置させているにすぎないと言う状況(1965年) も深刻な問題であった6) 。
これには財政問題もあるが、農村の学校に勤務する教員の不足という問題が大きな要因として横たわっていたといえる。
連邦政府は教育制度全般の見直しのために、1964年に「教育審議会」(Education Commission) を任命し、同審議会は1966年に「教育と国家の発展」と題する答申を発表したが7)、それにおいては、独立後の教員養成が「放置されてきた」8)との痛烈な指摘があった。
1-2. 第二期 (1968年~1986年)
上記の答申を受け連邦議会は、1968年に「教育に関する国策」9)という超党派の決議を行い、国の教育方針を示した。それは、地域格差の是正、地域の主体性の尊重などとともに、教員養成に関しては教員の現職教育の実施が必要であることを表明した10)。しかし、その後の政治的混迷により、この決議に沿った改革は十分に実施されなかった。初等教育就学率の伸びも鈍り、1~5学年の就学率は1980年に83%に達したものの、6~8学年のそれは40%台に止まっていた11)。
連邦政府はこの停滞を打破すべく教育政策の方向を再検討し、「教育の挑戦 ? 政策展望」12)を1985年に発表した。教員養成に関しては、その方法を時代の変化に即した形に改善する必要を力説した13)。
この準備を経て翌1986年には、連邦議会による新たな「教育に関する国策」14)という決議がなされた。この決議は、本稿で検討する初等教員養成を行う県教育研究所(DIET)の設立を、連邦政府が直接計画し財政負担も行うという形で打ち出したものであった15)。さらに連邦政府は、この決議を実行に移すために、「行動計画」を発表したが、それにおいても、教育行政の地方分権化(Decentralization) とその一環としてのDIETの設立を重要な施策として位置付けた16)。
1-3.第三期 (1987年以降)
DIETは1987年以降、全インドで設立が進められた。その設立と運営に関する詳細な方針は、「県教育研究所 ? ガイドライン」(以下ガイドライン)17)に示されている。このガイドラインが発表された1989年にはすでに、全国216ケ所にDIETの設立が認可されていた18)。
1991年の経済自由化政策後、連邦議会は、1986年の教育政策決議を新情勢に合わせた「改定 教育に関する国策」を1992年に決議し、連邦政府はそれと共に同年、「改定 行動計画」19)を公布した。ここでは再びDIETの推進が表明され、すでに全国306ケ所にDIETの設立が認可されていることと、地域の教育進行に貢献していることを評価したのであった。
2.デリー州のDIETの特色
2-1. DIETの一般的な機能
前述の「ガイドライン」によれば、DIETは各州下の各県に一ケ所の設立を原則としており、従って全国で400ケ所以上のDIETが設立されることになる。DIETは「改定 行動計画(1992)」で明確に示された、「地方分権化を具現化した機関」と言うべきものである20)。
DIETは、大きくは地域社会の教育実状を把握し、問題への対処をおこない、かつ、州教育研究所や国立教育研究所などと連携して教育活動を推進する研究所であるが、実際にはそれは、三つの主要な機能を持つ21)。
(1) 訓練:初等教員養成、現職初等教員の再教育。
(2) 援助:教材教具の開発、評価方法の開発と助言。
(3) 研究:県下の教育振興を意図した調査研究。
DIETを特徴づけるのは、その柔軟な組織構成
である。「ガイドライン」は、「各DIETが同じ構成を持つことはないであろう」22)と述べており、地域の実状に即した組織づくりと運営を認めている。各DIETは 「国のカリキュラムの枠組み」23)に基づいて初等学校に対する独自のカリキュラム開発を託されており、地方語で記述した同じく初等学校向けの教材作成も奨励されている。
これらのことは、連邦政府がDIETを通じて地域に根ざした教員養成はもとより、初等教育そのものを改革する意図をもっていることを窺わせる。
2-2. デリー州のDIETでの初等教員養成
デリー州はインドの首都でもあり、連邦政府の教育政策が直接反映するのみならず、初等教育就学率も全国平均を上回っており、24)その動向は全国にすくなからぬ影響をあたえる。
DIETは5ケ所設立されており、各DIETで初等教員養成が行われている。 25)その特色は次のようになる。
(1)入学資格は後期中等教育修了(12年間)である26)。
(2)養成期間は2年間である27)。
(3)学費は無償である。
(4)後期中等教育修了時の成績と入学試験とで合格者を選抜している。
(5)学習科目は、州内の公立初等学校の授業科目及び仕事経験28)、教育学、心理学などである。
(6)教育実習を各学年で40~50日実施している。
(7)学習者中心の教授法(問題解決学習法、デモンストレーションなど)を導入している。
(8)記述式の期末試験以外に継続的評価を導入している。
デリー州の公立初等学校の授業科目は、言語(ヒンディー語、英語) 29) 、数学、科学、社会、体育、芸術(音楽、図画工作)、仕事経験である30) DIETの初等教員養成課程では、1学年から8学年までの科目が教えられるように学習する。しかし、インドでは、初等教員養成課程卒業生(初等教員免許取得者)は1~5学年を教え、6~8学年は中等教員免許取得者が教えるのが一般的である31)。
デリーのDIETの初等教員養成課程を志望する者は多く、入学試験の倍率は数十倍に達している。これは、後述の志望動機に見られる諸要因にもよるが、中でも、1997年度からデリー州政府が採用した、DIET初等教員養成課程卒業生全員を州内の公立初等学校に採用する、という方針とインド社会の就職難を無視出来ないであろう32)。
3.初等教員養成課程卒業生への調査
3-1. 調査の概要
本稿で分析する調査は、デリー州モティバーグ(Motibagh)のDIETの初等教員養成課程を1996年度と1997年度に卒業した学生(総数133名)を対象として、1998年12月に郵送アンケートの形で実施したものである。同DIETは1987年に設立されており、その活動及び初等教員養成に約10年の実績がある。
同DIETでは卒業生の住所や就職状況を把握していないこと、さらに先行研究33)のアンケート調査の回収率が20%前後であったことも考慮して、比較的よい回収率を期待出来る最新の卒業生を調査対象として、より多くの回答者から意見を得られるアンケアンケート調査を試みた。
アンケートは、デリーの現職教員への試験的実施の後、本格的実施に着手したが、1992年2月には未回答者に郵送で督促を行った。最終的な回収率は52%であった。
調査票は、(1)回答者の個人情報、(2) 教員としての将来設計、(3) 教育現場での問題点、(4) DIET初等教員養成課程への評価、(5) 学校教育振興についての意見、の5部門で構成し、全部で48項目の選択式の質問を設けた。いくつかの質問には記述欄を設けて回答者が意見を記入出来るように配慮した。
両州の主要言語はヒンディー語であり、アンケートはヒンディー語と英語を併用し、回答者はどちらかの言語または両言語で記入した。本稿では、関係者との面談から得た情報を交えて、(1) 回答者の特徴、(2) 養成課程への評価、(3) DIET初等教員養成課程の問題点、を検討することとする。
3-2. 回答者の特徴からみた初等教員養成
まず、回答者の94%が公立初等学校教員として勤務していた(表1)。これは前述のデリー州政府の採用方針によるものである。次に、回答者を大きく特徴づけるのは、養成課程入学時の学歴である。26%が12年間の学校教育修了という最低基準を上回る学歴であった(表1)。DIET関係者によれば、この傾向は数年来のものであるとのことであった。
表1:解答者の特徴と傾向
回答者がなぜDIET初等教員養成課程を志望したかを示したのが、表2である。「教員志望であった」という回答(67%)を上回るのが、「職業と密接な授業内容」という回答(69%)であった。回答者は教員とし
て必要なスキルの習得を求めてこの養成課程に入学したことが分かる。そして、「就職が保証されている(42%)」ことと、「勉強が継続できる(46%)」ことも主な志望動機であった。
教職を希望した理由としては、「教職への興味(72%)」と「教職は貴い職業(77%)」が上位を占める回答であった34)。「勉強を継続出来る(58%)」がこれに続くことから、回答者は教職について肯定的な回答を選択すると同時に将来の勉強の可能性にひかれていることが分かった。
表2:DIET初等教員養成過程入学及び教職希望の動機
従来インドでは、教員の社会的地位が低いとされており、教職につくことは、「最後の選択である」35)とさえ表現されてきた。この状況にデリー州では変化がおこりつつあることが示唆される。回答者の将来設計を示したものが表3である。まず、将来取得したい学歴や資格として、学士(70%)、中等教員資格(55%)、修士(75%)となっていた。そして実際に、通信教育を受講中という回答が81%に達していた。また、「将来は中等教員資格を取得して中等教員になりたい」との回答が60%に達した。
記述での回答からは、中等教員になりたい理由として、「1~5学年までを教えた経験をもとに6~8学年を教えたい」、「自分の能力を伸ばしたい」、「DIETの養成課程では1~8学年までの指導法を学習するにもかかわらず実際は1~5学年までしか教えることが出来ない」、そして、「中等教員の給与が初等教員を上回っている」、という回答が得られた。回答者が明確な将来設計を持っていることが見てとれる。
表3: 回答者の将来設計
3-3. DIET初等教員養成課程への評価
ここでは、養成課程での学習から得られた知識や技能についての評価、学習科目や教育実習の有効性についての評価、さらに養成課程での評価方法や就業年限についての評価を検討する。
まず、養成課程での学習で、教職についてから必要な技術を十分習得出来たと考えているかを問うた結果は表4に示される。「教科科目を教えるための知識」を習得出来たとした回答者は88%に達した。「教科科目についての知識をクラスで教えるための技術」を習得出来たという回答は88%であった。
次に、「学級運営のための技術」を習得出来たとした回答は75%であり、「生徒、同僚、校長、生徒の両親、地域社会とのよい関係を作るための技術を拾得出来た」とした回答は79%であった。
表4: 養成課程で習得した技術
養成課程で学習した科目が教職についてから役立っているかを問うたのが、表5である。まず、教育実習については100%の回答者が「とても役立つ」あるいは「役立つ」と回答した。次に各教科教授法についても、「役立たない」との回答は音楽教授法の9%が最大であることから、多数の回答者が「とても役立つ」あるいは「役立つ」と評価したことが分かる。個別の科目に関しての評価を見ると、教育心理学については、「とても役立つ」が62%、「役立つ」が35%であった。これについての記述回答では、「子供の発達段階についての知識が得られたので、授業で役に立つ」との回答が得られた。
これに対して、教育哲学については、「役立たない」とした回答が43%に達した。記述回答から、回答者が「教育現場で役に立つ指導法などの学習により時間をさくべきである」、「理論学習は実際に授業を行う場合に役立たない」と考えていることが分かった。
表5: 養成課程での学習科目の教職への有用性(デリー)
養成課程では、内部評価(継続的評価:教員が学生の日常の活動を観察し評価するもの)を導入しているが、これについては、「適切に行われた」という回答が65%であった(表6)。
また、養成課程の年限については、現行の「2年間が適切である」とした回答が74%であった。しかし、教育実習期間については、「充分であった」という回答が50%で、「充分ではなかった」という回答が50%という結果となった。記述回答から、充分ではなかったとした理由で注目されるのは、「学校の実状は養成課程で学習した内容とは異なっていた「学校の実状をしるためには教育実習をより充実させるべきだ」、というものである。
表6: DIET初等教員養成課程への評価
これらの調査結果から、回答者はDIETの初等教員養成課程を比較的高く評価していると見て差し障りないであろう。
3-4. DIET初等教員養成課程の問題点
ここでは、調査から明らかになった養成課程の問題点について検討する。まず、先に見たごとく、回答者の43%が教育哲学を「役立たない」と回答した点である。これは、回答者が「職業と密接な授業内容」を入学の動機としてあげている点(表2)と一致しており、回答者が実学志向を持っていることを示している。同時に、教員養成において、理論科目と応用科目の間の相関関係を踏まえたカリキュラムの編成方法に問題があることを示すものである。
この点に関して、留意すべきは、回答者が勤務する学校の条件に大きな差異があることである。それらの所在地を見ると(表7)、都市部または住宅街にあるとした者が16%、郊外(農村部)にあるとした者が44%、そしてスラム街にあるとした者が41%となっている。この地域的条件の違いはまた、学校設備に影響しているのが現実である。
表7: 回答者の勤務校所在地
その設備が比較的整っているとされるデリー州の公立学校ではあるが、記述回答からは、「黒板などの教育設備が満足に使用できない状態である」、「補助教材が充分でない」、「革新的な教授法を学んでも、設備の不備などから、実際に教室で活用出来ない場合が多い」といった地域による教育現場の格差の実状が指摘された。
それはまた、「父母が子供の教育に関心がない場合がある」、「父母の経済的事情から就学に支障をきたす場合がある」、といった父母の意識・態度、経済状況にも繋がるのである。
さらに、記述回答では、「DIETの教員には実際に初等教員を経験した教員が少ない」、「DIETの教員によるデモンストレーションが少ない」、「教育実習に先立って、DIET内でシミュレーションを行うべきだ」、「DIETの学生と現職教員との交流が必要である」、などの意見が出されたことが注目される。
学校教育の実状に接した回答者が、養成課程に対して、より学校教育の実状に即した内容を望み、教育実習の充実を望むようになったと見ることが出来る。
4.DIETでの初等教員養成 ? 将来の課題
以上の調査結果の分析から、DIETの初等教員養成課程では、(1) 理論科目と応用科目をどのように位置付けるか、(2) 多様で複雑な県下の学校事情を養成課程の学習にどのように反映するか、という大きな課題があることが明らかになった。
DIETの主要な機能のひとつである「訓練」は、先に見た通り、初等教員養成とともに、県下の初等教員への現職教育を意味する。この点について回答者は、学校教育改善に必要な事柄として、「意欲ある教員の存在(94%)」、「学校の基本的設備の(92%)」とともに「教員への現職教育(81%)」をあげている(表8)。
表8: 学校教育改善に必要な事柄
記述回答からは、回答者がこの点に関して、「DIETから、新しい指導法などの情報を得たい」、「DIET卒業生とDIET教員の交流が必要であり、学校の現状についての意見交換が必要である」、といった意見を持っており、学校現場からのフィード・バックを含む、DIETとの相互の関係の構築を求めていることが注目される。
また、回答者は「教員同士の協力(87%)」が必要とも考えており(表8)、実際、DIETの卒業生は互いに初等教育や教育法法について「頻繁に交流や意見交換をしている(58%)」あるいは「時々交流や意見交換をしている(40%)」ことが判明した(表9)。
表9:DIET初等教員養成課程卒業生同士の交流/意見交換
今後のDIETの役割として必要なものが、初等教員養成課程の充実とともに、DIET卒業生の再活性化をはじめとした、県下の初等教育の振興に向けてのより積極的な活動であることは明らかである。今回の調査は、デリー州のDIETについての調査であり、それによって広大なインドのDIETのすべてを判断するものではない。デリー州で見られた初等教員の社会的地位の変化も、全国的なものとは言い難いであろう。
しかし、教育の地方分権化を具現化したDIETを通しての初等教員養成が、国の政策として進められている状況から、デリー州の事例は各州共通の数々の問題を内包していると考えられるし、その帰趨は全国的意味を持つものであろう。さらに、本研究は、特定地域の実正的研究を通して帰納的に中央(連邦政府)の政策の特質を照射する、という方法上の意義を問うものである。また、初等教育の普遍化と地域に密着した教員養成の問題は、同様の事情を抱えるアジア諸国に共通したものであり、その文脈において本研究が比較教育学的見地からの問題提起になると確信するものである。
今後の調査研究では、DIETによる初等教育の拡充について、初等教員の側からの視点をもって実証的に把握することを目指している。
注
1.「国は本憲法発布(1950年、著者注)から10年以内にすべての子供に対し14歳 を終えるまで無償の義務教育を与えるよう努めなければならない(第45条)
2. District Institute of Education and Training.
3. National Council of Educational Research and Training.
4 .S.N. Mukerji: “History of Education in India (Modern Period),” Acharya Bood Depot. Baroda, 1957, p.271.
5. J.P. Naik: “Elementary Education in India,” Aisa Publishing House, 1966, p.6.
6. 弘中和彦:「アジアにおける教師教育政策の課題と動向」日本比較教育学会紀要第4号, 1978, p.28.
7. Government of India Ministry of Education: “Report of the Education Commission 1964-66,”1966.
8. 同上:p.67 (第4章).
9. Ministry of Education Government of India: “National Policy of Education 1968.”
10. 同上:pp.2-3, p.3, p.4.
11. National Council of Educational Research and Training: “Sixth all India Educational Survey ? Provisional Statistics,” 1955, p.2.
12. Ministry of Education: “Challenge of Education ? a policy perspective,” 1985.
13. 同上:p.55.
14. Ministry of Human Resource Development: “National Policy on Education 1986,” 1986.
15. 同上:p.26.
16. Ministry of Human Resource Development: “National Policy on Education 1986, Programme of Action 1986,” 1986.
17. Ministry of Human Resource Development: “District Institutes of Education and Training ? Guidelines,” 1989.
18. 同上:p.4.
19. Ministry of Human Resource Development: “National Policy on Education 1986.” 及び “National Policy on Education 1986 Programme of Action 1986.” 1986.
20. “District Institutes of Education and Training ? Guidelines,” p.6.
21. 同上:p.4.
22. 同上:p.16.
23. National Curriculum Framework. インド国立研究所の作成。
24. National Council of Educational Research and Training: Sixth All India Educational Survey, 1995 によると、1~5学年の就学率はインド平均が95%で、デリー州は110%である。この統計は、1~5学年に在籍する生徒数を6~11歳の児童数で割った数値(Gross Enrollment Ratio) で算出されたものである。
25. デリー州のDIETでは、初等教員養成課程の名称を “Elementary Teacher Education (ETE) Diploma Course”としている。名称は各州で異なる。
26. 現在のインドでは、前期初等教育(5年間), 後期初等教育(3年間)、前期中等教育(2年間)、後期中等教育(2年間) という12年間の学校教育が行われている。
27. 全国的にみると、DIETでの初等教員養成が1年間で行われている州も存在する。
28. Work Experience のこと。手仕事を経験する学習。
29. 英語の導入はデリー州の公立学校では一様でない。
30. 体育、芸術、仕事経験の導入は、デリー州の公立学校では一様でない。
31. 中等教員免許を取得するためには、3年間の大学教育を受けた後に、1年間の中等教員養成カレッジを修了しなければならない。
32. デリー州政府 教育局局長 Mrs. Yadav による。
33. デリーのDIET卒業生を対象に1995年に実施されたアンケート調査 (M.S. Patel: “Follow-up study of passed-out ETE (Elementary Teacher Education、筆者注) Trainees,” SCERT.
34. J.C. Goyal & R.K. Chopra: “The Elementary School Teacher ? A Profile,” National Council of Educational Research and Training, 1990. pp.40-41. この調査は、現職の初等教員が教職を選択した理由として、「他には勉学を継続する方法がなかった(36%)」、「他には仕事がなかった(22%)」という理由があることを明らかにしている。
35. “Challenge of Education ? a policy perspective,” p.55.
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